厚生労働省の発表によると、平成26年の看護師の求人数が約140万であったのに対し、求職者数は約50万人でした。この結果から、看護師の人手不足が深刻であることがわかります。
看護師が人手不足に陥る要因として、離職率の高さが挙げられます。日本看護協会の発表によると、2014年度の離職率は、常勤看護師で10.8%、新卒看護師で7.5%でした。平成22年に厚生労働省が行った調査によると、看護師の退職理由として最も多かったのが出産や育児でした。結婚を機に退職したという人も多数います。また、職場の人間関係の問題や超過勤務の多さ、休暇の取得しにくさといった、職場環境に関する理由も目立ちます。
看護師の人手不足を解消するために、様々な取り組みや改善策が提案されています。ここでは、「勤務環境改善マネジメントシステム」と「短時間正職員制度」について説明します。
看護師をはじめとした医療従事者の勤務環境を改善するために、2014年に医療法が改正されました。このとき新たに導入されたのが、「勤務環境改善マネジメントシステム」です。これは、各医療機関が自主的に計画・実行し、勤務環境の整備を行うという仕組みです。この仕組みの導入には、「医療従事者の働き方・休み方の改善」、「医療従事者の健康支援」、「働きやすい環境整備」、「働きがいの向上」といった雇用の質を高める狙いがあります。
日本看護協会では、仕事と家庭を両立しながら働けるよう、「短時間正職員制度」の普及を支援しています。短時間正職員制度とは、正規職員のまま通常より短い時間で働けるというものです。この制度では、昇進・昇格の機会や福利厚生といった部分も、通常のフルタイムの職員と変わらず提供されます。給与もフルタイム職員の給与体系を基準に、勤務時間の違いのみを反映させたものになります。短時間正職員制度が普及していくことで、結婚や育児で退職している潜在看護師の復職にも繋がるでしょう。
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