手術室をメインで働く看護師のことをオペ室看護師といい、その他にも手術室看護師、オペ看、オペ室ナース、スクラブナース(手術に入る際に手を洗うことから)などさまざまな呼び方があります。
オペ室看護師の役割は「器械出し看護師(直接介助)」と「外回り看護師(間接介助)」の2つに大きく分けられます。
器械出し看護師とは、執刀医の手術がスムーズにできるように、支援・サポートをする看護師のことです。手術の様子をうかがいながら執刀医が必要とする器械を素早く、かつ正確に手渡し、手術を直接的にサポートします。
手術の進行は術式や患者さんの状態などにより左右される為、いかなる状況にも対応できるスキルと冷静沈着な精神が求められます。また、器械そのものも日々進化しており、最新の知識を吸収し続ける姿勢も大切です。手術には数多くの器具が使用され、同じ手術でも術式により使用する器械が異なる場合も御座います。診療科によって器械の呼び方も異なります。器械出し看護師は全ての器械の名前と用途を覚えなければなりません。
また、執刀医によっては、好む器械や手術の進め方、術式が変わる場合もあるかもしれません。つまり、言われたとおり器械を用意し、器械を渡せばいいわけではありません。
器械出し看護師は手術の進行状況を把握し、次にどんな指示が来るのか、どんな器械を渡せばいいのか、常に先読みするスキルが必要となります。
手術中は執刀医に常に付きっきり、立ちっぱなしとなり、ミスも許されない極度な緊張感も続くことから、身体的にも精神的にも負担の大きな現場です。一方で、特定の診療科に限定されない知識や、チームワークよく手術を終えられたときの充実感など、手術室看護師だからこそ得られるものも少なくないでしょう。
外回り看護師とは、手術全般を総合的にサポート・支援する看護師のことです。器械出し看護師と比べて業務の幅が広いのが特徴と言えます。
例えば、医療ドラマの手術シーンで額に汗をかいた医師の汗を拭く人が外回り看護師です。とはいえ、汗を拭くだけが役割ではありません。器械出し看護師が手術を直接介助する一方で、外回り看護師は手術を“外”から幅広くサポートします。
具体的には、手術を受ける患者さんに必要な処置、手術進行に応じた必要物品の準備、麻酔の介助、患者の状態の観察、手術の記録、コストチェック、環境整備など多岐にわたります。手術を間接的にサポートするため「間接介助」と呼ばれることもあります。手術をスムーズに進行するためのサポーターとして、なくてはならない存在です。
手術中は執刀医や器械出し看護師がカバーできない部分を幅広く見渡し、大きなトラブルや事故を未然に防止します。対応範囲が広いことから幅広い知識・経験・対応力、トラブルが起きても冷静に対応できる判断能力が必要となります。
器械出し、外回りはどちらの業務もできるように訓練し兼任することが一般的ですが、病院によってはどちらかを専任する場合もあるようです。
病院の規模や緊急手術の有無が入った場合により、手術件数や時間は大きく変わります。
救急外来の受け入れや患者さんの急な容態悪化により、夜間に緊急手術をする場合もあるかもしれません。
また、休日であっても緊急手術に対応できるように、月3〜4回程度のオンコール体制を取っている場合もある為、下記のスケジュールはあくまで1例となります。
【08:00】
出勤後、カンファレンスに参加します。全体カンファレンスで申し送りやその日行われる手術の打ち合わせを行い、チーム別カンファレンスで個人のスケジュールなどを確認します。
【08:30】
申し送りが終わり次第外回り看護師は患者さんの受け入れ・同意書の確認などの業務を行います。緊張する患者さんや心配するご家族の不安を解消するのも外回り看護師の大切な役目です。
器械出し看護師は、引き続き器械の準備などを進めます。
【09:00】
器械出し看護師→打ち合わせの内容に沿って手術がスムーズに進むように医師の会話や周囲の状況に気を配り的確な器械出しを行います。
外回り看護師→麻酔の介助や患者さんの状態把握を行います。手術室での対応以外にも、手術の経過を見守るご家族への状況報告も外回り看護師の重要な役割となります。
【12:00】
手術が終了したら器械出し看護師は、手術に使用した器械の片付けや数のチェックなどを行います。
外回り看護師は患者を回復室(リカバリー室)に移動させ、麻酔から目が覚めるまでの看護を行います。麻酔から目が覚めて、状態が安定したら病棟看護師に患者さんの引き継ぎを行います。
【14:00】
休憩 ※手術の終了時間によって休憩時間は前後します。
【15:00】
記録の整理やリーダーへの報告などを行います。
【17:00】
夜勤看護師に手術後の患者さんの状況や容態の確認、引き継ぎをして退勤します。
手術のない日は器械や機材の準備、患者さんのケアなどを行います。手術にかかる時間はあらかじめ決まっている為、残業は少ない傾向にあります。
立ちっぱなしのため肉体的な疲労の他、長時間の緊張状態が続くため精神的にも疲労感が強い仕事といえます。しかし、無事手術を終えたときの達成感はなかなか味わえるものではありません。
幅広い視野の広さが必要となり、様々なトラブルや状況変化に臨機応変に対応できる知識や技術が求められます。得るべき知識や技術の幅はとても広く、常に学習が必要ですがその分スキルアップが可能といえます。
病棟や外来などと異なり、直接患者さんとのコミュニケーションをとる機会が少ないことも挙げられます。基本的に周手術期だけの一期一会のため、患者さんから直接「ありがとう」と言われることがあまりなく、やりがいや達成感を感じにくいという人も中にはいるようです。
また、手術室の業務では経験できない一般的な看護技術や知識などもあるため、手術室から他部署へ異動する際には苦労する場合もあるようです。
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